『合気神髄―合気道開祖・植芝盛平語録 』

On: 2009年7月1日水曜日

たしか大正14年の春だったと思う。私が一人で庭を散歩していると、突然天地が動揺して、大地から黄金の気がふきあがり、私の身体をつつむと共に、私自身も黄金体と化したような感じがした。それと同時に、心身共に軽くなり、小鳥のささやきの意味もわかり、この宇宙を創造された神の心が、はっきり理解できるようになった。
その瞬間、私は『武道の根源は、神の愛――万有愛護の精神――である』と悟り得て、法悦の涙がとめどなく頬を流れた。その時以来、私は、この地球全体が我が家、日月星辰はことごとく我がものと感じるようになり、眼前の地位や、名誉や、財宝はもち ろんのこと、強くなろうという執着も一切なくなった。   
『武道とは、腕力や凶器をふるって相手の人間を倒したり、兵器などで世界を破壊 に導くことではない。真の武道とは、宇宙の気をととのえ、世界の平和をまもり、森 羅万象を正しく生産し、まもり育てることである』と私は悟った。すなわち『武道の 鍛練とは、森羅万象を正しく産み、まもり、育てる神の愛の力を、我が心身の内で鍛練することである。
また別の箇所で植芝は、つぎのようにも言っている。
私は武道を通じて肉体の鍛練をし、その極意をきわめたが、武道を通じて、はじめて宇宙の神髄を掴んだとき、人間は『心』と『肉体』と、それをむすぶ『気』の三つが完全に一致して、しかも宇宙万有の活動と調和しなければいけないと悟った。 『気の妙用』によって、個人の心と肉体を調和し、また個人と全宇宙との関係を調和するのである。

0 コメント on "『合気神髄―合気道開祖・植芝盛平語録 』"

コメントを投稿